母船 (bosen)

ここはさっきまで
さみしい途中だったのに
ひとりでに歩くほしがたのかげを
おいこして
きた！ついにきたあの船が
むらさきのぼたんふみつけて
かぞくにさよならいってなかったけ

おうひとはばかさわぎ
はだしのねこはさらに
てっさくにぶらさがり
たましいのおきばになやむ

なまえもしらないあなたと
あのふねにのって
どこにでもいけるならどこへ
いけばいいのでしょう

くろいけむりをはきだして
すぎたひをくいるあさ
むちゃくちゃなふねは
つめたいうみをのみますの

ああなつのよるのあらし
くたびれたふねと
こどくをなぞるきみが
どこかにいるはずさ

なまえもしらないあなたと
あのふねにのって
どこにでもいけるならどこへ
いけばいいのでしょう

なまえもしらないあなたと
あのふねにのって
どこにでもあるようなちあわせは
どこにあるのでしょう