影なき時雨に羽の音ふるわせ
誰がために泣くのか心あわただしや
宵のむらさめに忍ぶれど、我恋
まばゆき黒髪に祈りこめどたゆたう
涙で胸まの火消ゆるものならばこんなにも
物うれくことはないでしょう
むせびながら焦がしながら
道半ばの月の夜に片いと知りてなお
あなたへの想いをしたためひそやかに眠る
香の香り引き寄せ記憶たぐり寄せ
この腕からませ耳元ささやいて
そこはかとなく移りゆく愛ならばこんなにも
物うれくことはないでしょう
嘆きながら焦がしながら
満ちたの十五の月の夜に願わくはもろごい
あなたへの想いを確かめまごと沈める
霧の散る間に慰めあって時に迷れて
生き続くことにあなたが欲しくて
かかるほどに世は明けてあなたは行って
駆け半ばの月は黎明のぞみつなぐ光
あらわし心みかしをまといたおやかに歌う
生まれ変わりの月は国名みはてぬこの夢に
くぐもる空もすきとおって迷うことはない
めぐる